韓ドラ『ミスター・サンシャイン』がひどかった
2023年 10月 24日

ここのところネトフリドラマを立て続けに観ていて、そこでこの『ミスター・サンシャイン』も観たんですが…
視聴率がよかったとか、43憶もの製作費とかの情報を見たので期待したんですが、
ここ数年観てきた韓ドラの中では、製作費に比して断トツの駄作だと思いました。
これまでブログには、韓ドラは特にいいなと思ったものだけ感想を載せてたんですが、これはちょっとなかなかに衝撃だったので、感想を書きたくなりました。
俳優陣は頑張ってるし、演技もいいし、映像もセットも本当に美しく素敵なんですが、低評価の理由はただただ脚本です。
観始めてかなり早い段階で「?」と思うこともあり、この記事↑を読んだんですが、
いえもうこの記事の言う通りで、愛国心を煽るためだけに歴史を都合よく切り貼りしてはいけない、ってことですよね。
あまりにも安易。
日露戦争前後の大韓帝国が舞台なので、日本と親日派が悪く描かれるのは当然なわけだけど、主人公が朝鮮からアメリカに渡った米軍人という設定なので、アメリカを悪く描くわけにはいかず、ロシアやイギリスなど他の外国勢力をほぼ捨象してるので、外国勢力の悪はすべて日本が担う羽目になってるんですが、そもそもその構成に無理がある。
そして日本の酷さが画一的で非合理。現実では、朝鮮や朝鮮人に対する日本人の対応は時期を追うごとに酷くなっていくはずですが、このドラマでは最初から戦時中みたいなMAXの酷さで、時代劇なのに時代の流れが考慮されず、ベタ塗りで奥行きもない。
日本と日本人と親日派は最初から「悪」と決まっていて、その背景も動機も描かれない。その悪は、政治的悪じゃなく人間的な嫌味として描かれるために、やけにちっぽけな嫌な奴になってるけど、それでいいの?
親日派の動機もせいぜい私利私欲とかで、親日派が「朝鮮を潰す」とか言う。朝鮮を潰したいなら親日派になる必要すらないのに。そんなイメージでこの時期(1870年代~1900年代)の親日派を描くのはちょっと可哀想すぎる。
物語では、朝鮮で身分の低かった奴婢や白丁の子が成長して賢いいい人として主要な役を担うので、生まれで人は決まらないというメッセージも入ってるのに、日本人だけは生まれでキャラが決まっていて、全体の趣旨も合わない。出てくる日本人は全員思慮が浅く、弱くて気の小さいバカです。
そして怖い日本人の代表として、「秀吉の朝鮮侵略で活躍した将軍の子孫で、征韓論に従う、日本で天皇の次に力のある森氏」というのが出てくるんですが、待って待って。
もちろんフィクションと言えばそれまでなんだけど、天皇と比べて順位をつける発想自体が日本にはないし、明治期の日本に、天皇の次に力のある元武家の代々高貴な家柄なんて存在しない。そもそも(このドラマではnobleという語がよく使われるけど)日本では、(この物語の中でイメージされてる)「noble」と「力のある」とか「武家」が両立しないのは誰でも知ってる。
征韓論の思想的根拠は『日本書紀』で、秀吉の朝鮮出兵じゃないし、江戸末まで日本人は朝鮮の存在をほとんど意識してない。
のに、その人が「朝鮮は文禄の役を経ても今まで生き残った」とか「朝鮮の精神を棄損する」とか言うんですが、いやいや1から10までめちゃくちゃでしょう。
これらの発想や世界観自体がとっても朝鮮半島的なのに、そのセリフを日本人が言うという違和感よ。
そして、こんな激動の時代を舞台に米国公使館や皇帝までも動かしながら、話はすべて、主人公周辺の小さな話に収斂していってしまう。
日本に10年も留学してた優秀な坊ちゃんは、新聞社を立ち上げたのに、世界情勢や社会情勢を記事にせず、ほかの新聞から情報を知る。あまりにポンコツ過ぎないか。この時期のインテリならもっと視野の広いいろんな記事が書けるはずなのに、(おそらく脚本家さんの能力不足で)それは描かれない。
朝鮮の高官をヤクザが日本に拉致して呑み屋でコケにするとか、朝鮮皇帝が女主人公を助けるために日本に使者を出すとか、話はすべて矮小化され、後半になればなるほどツッコミどころ満載でした。
こんなに歴史にも政治社会情勢にも思想にも疎い脚本家さんは、ファンタジーだけ書いてたほうがいいんじゃないかな。
この時代を扱うのであれば、それ相応の知識(勉強)と頭脳が必要だと、改めて実感したドラマでした。
この時代のドラマなら、『緑豆の花』のが断然いいです。
by 1kappa
| 2023-10-24 10:00
| 映画・ドラマ・本
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